淋しいのはお前だけじゃない

lovelytsubasa2005-03-22



先日、雑談の中で宮藤官九郎脚本の『タイガー&ドラゴン』(4月15日よりTBSで連続ドラマとしてスタート)の話題が出たのだが、それってよく考えると市川森一脚本の『淋しいのはお前だけじゃない』へのオマージュだったのネ(…って今さらかよ!)。西田敏行、借金取り立て、主人公が古典芸能へハマっていく様…とストーリーのファクターを並べていくと、改めて震えがきてしまったのデシタ。

1982年のドラマ業界での話題は集中していたのだが、何せ視聴率がボロボロ。しかし、金融会社の取立て屋(西田敏行)が、借金地獄で苦しんでいる面々とともにサラ金会社の影のオーナーであるヤクザの親分から逃げるため、 演劇一座を結成して全国の演芸場を渡り歩く、というストーリーがとにかく斬新だった『淋しいのはお前だけじゃない』。第15回テレビ大賞を受賞した他、 脚本を担当した市川森一も本作品で第1回向田邦子賞を受賞したという、テレビドラマ・フリークス以外には隠れすぎの名作なのだ。

以前、放送ライブラリーにて、現役を退いたテレビマンたちによって結成されている“放送人の会”主催の『名作の舞台裏・淋しいのはお前だけじゃない』というイベントに出席した(この“放送人の会”のイベントは行くたびごとに日本のテレビドラマについて「使い捨てコンテンツであってはならない」ということを再確認させられる)。パネラーには主演の西やん、脚本の市川センセ、プロデューサーの高橋一郎氏(事故死した80'Sアイドルの高橋良明の親戚だとか…)と御大が勢揃いだったのだが、やはり制作側の意気込み&フロンティア・スピリットのようなものがまだまだ80年代初期には息づいていたんだなぁとシミジミ。…だってまったく交差することは考えられなかった、さまよえる80年代社会の産物“サラ金業界”と古きよき大衆文化の“旅役者”の世界観がこんなところでコラボとはねェ。第1回の導入部を観ただけで、鳥肌が立ちマス。

■『淋しいのはお前だけじゃない』番組概要
1982年6月4日〜8月27日 TBS系で放送(全13話)<キャスト>
河原崎長一郎 財津一郎 西田敏行泉ピン子 萬田久子 ほか<スタッフ>
脚本:市川森一、録音:大友武士、編集:五十嵐真一、美術:桜井哲夫、効果:若林宏夫、照明:加藤静夫、撮影:中村秀夫・中島靖人、音楽:小室 等、演出 :高橋一郎・浅生憲章、制作 : 高橋一郎<受賞歴>
第20回ギャラクシー賞、第15回テレビ大賞