「教官!うす汚ねぇシンデレラもやるっきゃないッ」

真ん中の男性は教官?


 …もうここでとやかく言うまでもない。80年代に大ブレイクした『スチュワーデス物語』や『少女に何が起こったか』等の“大映ドラマ”がなんと今秋、来年初頭に一挙DVD発売へ!しかもエイベックスから発売とは時代である。ラインナップを見ていくと驚いたのは『スタア誕生』までもカバー範囲という異様さ。これはあまり語られない作品だけに大映ファン垂涎の登場だ。…大映ドラマファンはどんな事があっても今年の秋まで生き抜こう!(…個人的には『少女が大人になる時・その細き道』も入れて欲しかったが)

 1971年倒産までに、確実な名作映画をコンスタントに生み出していた大映。倒産以前から「大映テレビ室」としてテレビドラマを制作していたが、倒産以降は「大映ドラマ」として分離独立に成功した。そして70年代に入っての岡崎友紀シリーズや山口百恵主演の“赤いシリーズ”で大ブレイク。そして80年代に至っての大映ドラマブームへと繋がる。
 そもそも大映という映画会社は、スタッフ、俳優、社長すべてに他の映画会社とは違った独特のカラーを持ち合わせていた。社長の永田雅一の強烈キャラ(新東宝の大倉貢よりは一般的だが)、増村保造溝口健二市川崑山本薩夫 といった確実な仕事の監督群、勝新太郎京マチ子船越英二若尾文子といった演技派から渥美マリ松坂慶子関根恵子*1八並映子篠田三郎*2といった大映末期を支えた大映ヤングスターまでの幅の広さ。初期の頃は文芸作品が多く、増村監督のような非常に斬新な感覚で描かれている作品も多かった。しかし末期になると、日活ロマンポルノに対抗するかの如く、関根恵子の“レモンセックス”路線であったり、松坂慶子の診察室シリーズ、渥美マリの軟体動物シリーズ(爆)と、中途半端な青春エロ路線へと幅の広げ方はまさに暴走状態。しかし肝心のエロやプロット自体はかなりの中途半端。おまけにヤングスターたちもどこか具体性が欠けていたりで、もろ手を挙げての名作はこの頃になると少ない。やはり幅の広さが逆作用してしまったとしか言いようがない終わり方である。そのような終わり方は自分にとっては非常に残念に感じてしまうのだが…。
 しかしこういった映画会社もろもろの倒産劇から、大映ドラマが生まれた事は事実だ。大映が持つ幅の広さがそのまま継承されている大映ドラマ作品群が、美しいデジタル処理された画像で甦る事を楽しみにしている。

*1:関根作品も後期『成熟』あたりになると、ホントに田舎のお姐ちゃんが方言丸だしでバンバン脱ぎまくる感じでちょっと退いてしまう。恵子には都会のクールな女が似合う

*2:関根との共演が多いが、後の“優しいお兄さん”のイメージとは程遠い。