『みごろ!たべごろ!笑いごろ!!』の70年代ハンドメイド感

lovelytsubasa2005-02-08


プライベートで引越し先が決まった。70年代後半から80年代初頭の雰囲気がそのまま封印されていたようなマンション。パっとみた時、向田邦子さんが生前住んでいた南青山のマンションに似ていると思った。今ふうなデザインのものは何ひとつ置いてないため、ここは、インテリアをその当時のテイストのものに統一するしかないと、ガッツポーズ!手作り家具や雑貨を置くのも良し。そんなときめきを抱きながら、石立ドラマをはじめとしたその当時のドラマや映画を改めて観直している。

そんな中、昨年暮れに購入した『みごろ!たべごろ!笑いごろ!!』のDVD-BOXを再度観直した。これは1976年に放映された大人気バラエティ番組。70年代後半という時代のテイスト満載の番組だ。当初は加山雄三“若大将ブーム”*1リバイバルに乗って固めていった企画だったらしいが、実際フタを開けてみると共演のキャンディーズ小松政夫伊東四郎*2の人気のほうがすさまじく、伝説のバラエティ番組*3へと変化していったようだ。…とにかく感動モノだったのが、番組オープニングの手書きテロップの手作り感!『8時だよ!全員集合』にもみられたような、あの“スタッフのバイト君がマジックで書いたような文字”である。そんな手作りテロップが活かされたのが、“お隣さんちの未亡人”というコントコーナー。伊東四郎扮する着物姿の主婦“シロコ”がお隣さんの美人未亡人宅へ夕飯どきにお邪魔しにいく典型的なコントなのだが、シロコの心境をすべてセリフで発さずに、あの手書きテロップでマンガのような吹き出しで描かれるのが笑いをそそる。例えば、その未亡人宅には学生の下宿人がいるのだが、ハンサムな東大さん(東京ヴォードビル・ショウの佐渡稔)が出てくるとすかさず「おいしそー★」というセリフが手書きテロップで描かれる。…いや、今から考えたら非常に幼稚なコントであり、くだらない。しかし、そのくだらなさを手書きテロップという手作り感がカバーしていて、未亡人VS隣の主婦という殺伐とした状況下のコントも妙な安心感を感じてしまうのだ。ワープロの文字が飛び交い、出演者のセリフはすべて画面下にしつこく繰り返される現在のテレビ番組にはまったくなくなってしまった、何ともなごやかな空気である。

*1:しかしブームといっても、番組内の若大将と荒井注のコーナーの名前が“若大将とハゲ大将”とはあまりにも残酷

*2:伊東四郎のツッコミの素晴らしさと狂気の演技力に衝撃!

*3:共演者は他に西田敏行秋野暢子。まだ売れない頃の西田担当の“にほん古い話”の紙芝居コーナーでの異常なテンションは放送コードギリギリ。いっちょブレイクさせてやろうという野心が伺える。